モヤモヤと向き合って!――私らしさの模索で「引」きつけた創業(いま)

 #03:株式会社ワーク・ライフバランス・取締役、創業メンバーの【大塚 万紀子さん】(42歳)。いまだから話せる「20代の回り道」「小室淑恵さんとの関係」「30代で捨てた考え」や、先輩女性としてのアドバイスをお届けします(※リモートインタビュー)。




20代の回り道、専門職という正義


 ――楽天出身ですよね!

 元々は弁護士志望で、大学の図書館に通い詰めの生活でした。大学院生の就職活動期限を目前にしたある日、「専門職に就く私」を再度イメージしたのですが、「性格上やっぱり向いていないかも」と。

 その後、就職・総合職というキャリアを模索しはじめました。ただ、司法試験一筋だったため、相談相手もいなく情報収集も不完全……。

 途方に暮れていると、「楽天株式会社インターン募集中」という張り紙をキャンパス内で発見。法務部インターンを経て、新卒入社しました。


 ――専門職が向いていない。どんな性格ですか?

 私は「好奇心旺盛」ですね。

 入社直後は、新規クライアント開拓営業として、サイトへの出店・出品を提案していました。上司から「一方的に説明するのではなく、お客さまのサービスに興味を持って」とアドバイスされたこともありますが、歩みや想いを質問することが大好きで、性に合っている。提案というより、「取材」ですね(笑)。

 次から次へと興味が湧いてくる――私はそういうキャラクターなのだと思います。


 ――その後は営業一筋ですか?

 いいえ、法務部に希望異動しました。営業が性に合っていると感じつつ、古巣に戻りたくて、営業成績を上げていましたね。法務エキスパートにはなれそうもないのに……。

 大学生活や仕事を通じて、「専門家・専門職を目指すべき」という価値観が刷り込まれていたのかもしれませんね。




「引」きつけた創業チャンス、ハードワークで埋めた心の隙間


 ――仕事のアクセルをふみ出した瞬間を教えてください。

 27歳前後です。

 法務部の仕事も楽しかったのですが、フラットな毎日。「私らしさが満たされない」という悩み・心の隙間をハードワークで埋めようと必死でしたね。

 当時の私は、残業が当たり前なワーカホリック。仕事が好きな人から仕事を奪うなんて……とワーク・ライフバランス反対派でした。仕事を理由に、キャリアや人生の「モヤモヤ」から、目を背けていたのだと思います。

 そんなある日、学生時代からの友人で当社の代表取締役・小室淑恵に、悩みを打ち明ける機会が。彼女に相談すると、「成長=ワーク・ライフバランスだよ」とアドバイスをくれました。

 そこからは、「私の成長のためにもワーク・ライフバランスに取り組みたい」「経験を生かしながら幅広くチャレンジできる、エキスパート・オールラウンダーになろう」と強い想いが。彼女と一緒に起業・創業の道を歩むことにしました。


 ――エキスパート・オールラウンダー!

 大学時代から会社員時代の「回り道」を経て、「単一領域に身を置くのは向いていない」と。幅広い知識と経験を有する「オールラウンダー」要素、精通・熟達の「エキスパート」要素を組み合わせた選択肢もあるはず――と気がつき、視界が晴れましたね。




回り道と相談は積極的に!


 ――回り道=迷走ですか?

 「迷走」という表現もあるかもしれませんが、ポジティブに捉えてほしいです。夢や目標など、やりたいことが1つとは限らないですよね。人生に絶対という言葉はないし、人は変化する。

 なので、迷走を感じたときほど「自己理解」の時間を取り、キャリアの体幹を鍛えてほしいです。

 私は当社創業直後の29歳(第一子出産のタイミング)と、組織が少し大きくなった30代後半で、自己理解の大切さに気がつきました。もう少し早かったら……と悔やむときも(笑)。ただ、経験・体験があるから、さまざまな視点で考えを深められたと思います。

 若手女性にお伝えしたいのは、「やりたいことを1つに絞る必要はない」「回り道していい」ということ。特に20代は、(工夫さえすれば)時間という「極上の贅沢」がありますよね。好奇心旺盛に挑戦・試行錯誤を繰り返してほしいです!


 ――小室さんに相談。悩み相談されるのですね!

 勉強優先で人と群れない大学生活だったので、世間を知るためにセミナーへ積極参加。質疑応答コーナーまで残り、講師に相談して帰る学生でした(笑)。

 相談する側のポイントは、知識や答えは求めないこと。「そういう考え方もある」と新しい発見をすることで、悩みが “スーッと” 引きますよ。

 近頃は、悩みを打ち明けられない若手も増えてきていますよね。「面倒・迷惑だと思われたくない」と思い込むことで、ご自身の行動範囲を狭めていませんか?

 私の場合、そういうときは共通の友人に同席してもらうなどして、相談の場を作っています。図々しいくらいの積極さが、功を奏しますよ。







ワーク・ライフバランスに「魅」せられて


 ――ワーク・ライフバランスコンサルタントの魅力を教えてください。

 お客さまの「課題解決をサポートできる」ことです。相談の入口はワークスタイルでも、蓋を開けるとチームビルディングや社員育成など。

 コンサルティングを通じて、「私」に相談事を打ち明けてくださることが嬉しいですし、ワークスタイルを変えることで社会構造の変化にもつながりますよね。やりがいがあり奥深い仕事です。

 

 ――小室さんと出会わなくても起業しましたか?

 鋭い質問ですね(笑)。

 当時の仲間と起業の可能性についてよくディスカッションしましたし、(起業でなくても)サービスを創る側にいたいとは思っていました。ただ、遠い未来を待たずして、起業・創業となりましたね。




理想の女性像 #(該当なし)


 ――ロールモデルは小室さんですか?

 創業前後は本当にそう思っていました。

 ただ、一緒に仕事をするなかで、「同じ人にはなれない」と。理想の女性像を追い求めるのではなく、自分で作っていくもの、「私らしさ」を大切に――と考えるようになりました。

 そのため、(複数人の女性を参考にすることもありますが)ロールモデルは設定しないようにしていますね。




30代 チームのために捨てた2つの固執


 当社でのマネージャー経験を通じて「負けず嫌い」「好かれたい」という考えを手放しましたね。


 ――負けず嫌いを克服ですか?

 難しい山を一人で登頂したいタイプで、「私が一番」「人に任せたくない」と部下にも闘志がメラメラ。

 前職での営業経験も関係しているかもしれません。営業成績が振るわないと悔しくて悔しくて……。負けず嫌いに拍車が掛かったまま、キャリアを歩んできた気がします。

 しかし、当社の組織が大きくなるにつれ、個人ではなくチームで成果を出すことが必要に。

 私の負けず嫌いさが「ボトルネック」になりはじめました。私しかできる人がいないと仕事が進まない、社員が育たない……といった感じです。

 それからは、「みんなでジャングルジムを登る」ようにしていますね。


 ――実は私も負けず嫌いで!

 負けず嫌い女子大歓迎(笑)ですし、負けず嫌いを悪いことだとは思っていませんよ。

 人間のタイプは多様なので、「あなたはあなた」「私は私」、共存するにはどうすべきか――アイデアを持ち続けてほしいですね。


 ――好かれたくないのですか?

 みんなに好かれたい欲が強かったのですが、36歳前後で「私を好きだと思ってくれる人に、認めてもらえればOK」と思えるように。妥協ではなく「前進」です。

 正直、みんなに好かれるように振る舞うほうがラクだと思います。その人が好きな私を演じればいいので。

 でも、マネージャーとして、部下に嘘はつきたくないですよね。「私らしさ」が揺らぐと周囲を不安にさせてしまうし、八方美人すぎても矛盾して嫌われる。

 これは、お客さまとのお付き合いでも同じことです。「長いお付き合い」をしたいので、取り繕った自己プロデュースなどせず、ありのままの私でぶつかっていく――自然体が一番ですよ!




As(アズ)読者へ


 ――20~30代女性に応援メッセージをお願いします!

 20代の頃は「私らしさ」を模索して、「回り道」していましたよね。

 専門職として領域を絞り込むのではなく、「幅広い知識と経験」「精通・熟達さ」を組み合わせた在り方が向いている――と気がつきました。「自己理解」の材料として経験・体験を重ねましょう!

 また、「モヤモヤ」から目を背けないでほしいです。ハードワークで蓋をしても効果はありませんよ。相談が小室との創業チャンスを引きつけたように、悩みがビジネステーマや次の成長につながることも。

 30代はワークもライフも更に忙しくなりがちですが、向き合ってほしいですね!