経営=勝ち組からの脱皮――女性部長に「惹」かれて

 #02:PR事業や地域マーケティングを展開する、株式会社machica・代表取締役【味岡 美希さん】(28歳)。

 社会人1年目で休職を経験。「楽天家だけが船出する」という言葉を胸に、自分を奮い立たせてきたのが印象的でした(起業という学生時代からの夢を叶えた完璧女子……先入観を持っていてすみません)。同世代だからこそ共感できる「キャリアの考え方」「肩書きやスキルの悩み」など、味岡さんのお話しをお届けします。※リモートインタビュー




複数の肩書き、私の「魅」せ方


 ――仕事内容を教えてください。

 26歳の2017年に当社を設立し、地域PRを関西・東京拠点で手掛けています。具体的には、地方店舗の東京進出コーディネート、イベントPRのプランニング、ウェブマーケティング代行(SNS運用やプレスリリース執筆)、地域活性化や社員研修のセミナー講師など多岐に渡ります。

 会食やイベントでご挨拶をする際、「事業や仕事内容は?」と必ず質問されますよね。「複数の肩書き」を持つことで、「一貫性がなく中途半端なキャリア」と認識されていないか、相手の目が気になり思い悩んだことも。

 28歳のある日、「私に案件依頼することに不安はないですか?専門領域が絞れていなくて……」という相談をクライアントの方にすると、「さまざまなことを経験・体験している味岡さんの感性、唯一無二の知識やスキルがあるから依頼しました」とありがたいお話しをしてくださいました。


 ――複数の肩書き……アドバイスはありますか?

 副業・複業時代のいま、「複数の肩書き」を持つ方が増えてきていますよね。さまざまなことに挑戦でき、キャリアの幅を広げられる――幸せな時代がやって来たと感じます(笑)。複数の領域で知識やスキルがあれば、オリジナル・シナジーを生みだすこともできますよね。それが、次の依頼につながることも。

 また、自己紹介時の肩書きを相手に合わせてアレンジ――といった賢さを身につけることも大切だと思います。私も試行錯誤しながら、自分自身の魅せ方を工夫していますよ。




キャリアの青写真


 ――会社員の経験もありますよね!

 大学では経営学部に在籍し、学生ベンチャーを経験。ビジネスプランコンテストで積極的にプレゼンテーションをする、俗に言う「意識高い系」でした。また、両親が自営業を営んでいるため、経営という仕事内容や起業というキャリアは、幼い頃から身近に感じていました。

 2014年の大学卒業後は、株式会社デジタルホールディングス(旧:株式会社オプト)に新卒入社。興味があった(経営層に投資提案を行う)ベンチャーキャピタル事業部に配属となりました。

 青写真通りの社会人デビューを果たせたのですが、その後は試練ばかり。まず、当時の私にはファイナンス知識がなく、仕事がさばけない……。上司や先輩に迷惑をかけることも多くなり、度重なる体調不良を契機に「休職」となりました。

 いま思うと、仕事の理想が高すぎたのかもしれません。自信家だった私には受け入れ難い現実でしたね。


 ――退職or復職、どちらの道を選びましたか?

 休職直後は、恥ずかしくて職場には戻れないと視野が狭まり、「退職」の二文字が頭のなかを駆け巡っていました。

 ただ、何をするにも“とりあえず”体調だけは回復しようと思い、食事、睡眠、運動を改善。「復職」も検討しようとラフな思考になり、それぞれのメリットデメリットを紙に書き出してみました。すると、復職のほうがメリット多だったのと、逃げずに復職の道を選んだら「自分のことを好きになれそう」と思いましたね。

 その後、はりきって復職したのですが、(復職のリハビリテーション制度として)時短勤務せざるを得ないことが悔しく涙が止まらない、泣く自分に呆れる――の繰り返しでした(笑)。このままではだめだと思い、時短勤務の環境を逆手に取ることに。発声スキルやプレゼンテーションスキルを習得するために通ったナレーションスクールでは、年上の方が夢を追う姿に刺激を受け、「十人十色の生き方」を知りましたね。肩の荷が下り、完全復帰がようやくできました!




楽天家だけが船出する、私のモットー


 ――苦境から這い上がってきましたね!

 理想とはかけ離れた入社1年目でしたが、前向きな気持ちを忘れずに、自分自身を鼓舞していましたよね。

 要所要所でこうした行動を起こせているのは、「楽天家だけが船出する」というモットーがあるからです。「前向きに人生を考える人だけが、最終的に一歩をふみ出せる」という意味で、20歳の誕生日に母が教えてくれました。

 いまでは、パワーポイントで自作した座右の銘集を毎日読み返し、エネルギーを得ています(笑)。ラインナップは、レディー・ガガから芥川龍之介まで。モットーは、心のお守りになるのでおすすめです!





理想の女性像 #女性部長


 ――理想の女性像を教えてください。

 入社2年目のタイミングで組織改編があり、コーポレートデザイン部という広報や総務を担当する部署に異動しました。

 上司は社内初の女性部長。ハードワークと子育てを両立させ、(疲労困憊なはずなのに)常に明るく一緒にいて楽しい。休職を経験した私にも丁寧に接してくれる方でした。

 その上司と出会ったことで、「経営や起業にたずさわる者だけが人生の勝ち組」といった私の勝手なキャリア意識が和らぎ、「仕事だけでなく周囲にも愛を持つ」「人と人との関係」「自分らしく働いて楽しむ」を意識するように。生き方や働き方をデザインし、エンパワーメントを発揮する(上司のような)女性になりたい――と強く感じた瞬間でもありましたね。

 理想の女性像に近づくために、自分自身との対話は必要だと思い、趣味の点茶を日課にしています。自分のために点てる一杯は、精神統一の時間。中学時代から茶道・裏千家を習っていたのですが、厳しい作法や礼儀は、マナーをはじめとする人間形成にも通じるものがあると思います。


 ――女性政治家といった著名人を挙げられるのかと!

 最近だと『セブンルール』といったテレビ番組、雑誌などで素敵な女性をよく目にしますよね。私は目立ちたがり屋のため、とても羨ましいです(笑)。

 ただ、知らず知らずのうちに「人と自分は比べない」、当時の上司をはじめ「理想と向き合い目標を実現している女性も輝いている」と考えるようになりました。みなさんも、メディア露出していない=輝いていないと思わず、自分らしい道を歩んでほしいです。 




滋賀に「魅」せられて


 ――なぜ起業されたのですか?

 広報異動後は、持ち前のライティングスキルやプレゼンテーションスキルを生かし、業務に奮闘していました。

 そんなある日、実家の都合もあり、入社3年目の2016年に退職。滋賀県に帰郷しました。

 久しぶりに地元の空気に触れ、「地元・滋賀県をアピールしたい」「貢献できることはないか」と淡い夢を抱くように。その数カ月後、琵琶湖写真展を見に行きました。主催者に感想を伝えた会話の延長線上で、「PR業務で役に立てることはないですか?」と気軽に相談したところ、滋賀アンテナショップの東京出店に関する案件を任せていただけることに。人生はじめてのフリーランス活動でした。

 以降、さまざまなご縁に恵まれたのですが、当時は会社登記をしていなかったため、契約成立が難航する案件も。法人を設立したほうがキャリアの幅が広がる――と感じ、2017年8月に当社を設立しました。

 「起業」と聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、私の場合は「案件を受けるための手段」で、それを選択せざるを得ませんでした。大学時代から起業に熱い想いを寄せていた私が、こういった経緯で会社登記するなんて――意外な結末ですよね(笑)。




26歳女子という色眼鏡


 ――若い女性……つらい経験はありますか?

 年齢や外見の印象に加え、フリーランスとして活動しているせいか、不適切な対応をされてしまうこともありました。

 そこで、大人っぽさや信頼される雰囲気について私なりに研究し、「~でしょうか?いかがですか?」という質問口調を、「だと思います!こうしましょう!」にシフト。話し方の癖を直すのは易しくはなかったですが、実践し続けることで与える印象が変化していきました。

 「若い女性」であることがハンディキャップ……とても共感できますが、マイナスにとらえるのではなく、それをどう生かすか――がポイントかもしれません。たとえば、地域PR案件では、(地域自治体によっては)年齢層の高い男性が多く、若い女性ならではの視点や考え方が重宝されることもあります。自分自身の価値を生かすことでチャンスは巡ってきますよ!




教える立場に、スキル不足でもう悩まない


 ――セミナー講師も担当されていますよね!

 2017年からストアカ(趣味やビジネススキルなどの習い事を単発受講できるウェブサービス)の関西エリア担当として、企画運営やセミナー講師を務めています。

 スキルに悩み休職した私が講師だなんて、人生何が起こるかわからないですよね(笑)。


 ――スキル習得のコツはありますか?

 ストアカでの活動を通じて、「誰もがゼロから学びはじめて、プロになる」と思えるように。当社設立に伴い、はじめて経験した業務や課題も多々ありましたが、学ぶことで乗り越えてきました。

 たとえば、スキルを分析、細分化してみると、自分にしかできないことが見えてきます。一度経験してみたら、すんなりできることもあるので、まずはチャレンジ。そして、結果をふまえて改善――PDCAサイクルを回すことが、スキル上達の近道になると思いますよ。






As(アズ)読者へ


 ――私らしいキャリアを歩む、応援メッセージをお願いします!

 私は、年齢、スキル、経験が不完全な状態で独立、起業しましたし、多方面に興味や関心があるので、「キャリアの一貫性」に苦悩したことも。

 ただ、「楽天家だけが船出する」という言葉の通り、前向きな気持ちも忘れずに、仕事にも周囲にも愛を持って接すれば、チャンスの機会も増えると思います。

 次の一歩に悩まれている方は、いきなり独立や起業ではなく、副業(趣味や特技の延長でスモールスタート)という選択肢もありますよね。私の場合は、私生活でのめり込んでいたインスタグラムがウェブマーケティング代行案件に、趣味の点茶が地域PR案件に発展しました。

 偏ったキャリア意識から脱皮し、自分自身にあった生き方や働き方を見つける――。みなさんらしい道を歩んでほしいですね!