No Rain, No Rainbow――ハワイとアロママッサージに「魅」せられて15年

 #01:ハワイアンマッサージ店を全国20店舗以上営業する、ハワイアンフォレスト株式会社・代表取締役【森 優さん】(34歳)。

 森さんは「好きを仕事」にし、20代で独立開業、会社設立された女性。順風満帆なキャリアイメージとは裏腹に、自律神経失調症、離婚経験、スタッフ教育で苦悩といった過去も。「No Rain, No Rainbow(ハワイのことわざ:雨が降らなければ虹は出ない)と想う理由」「仕事のアクセルをふむ理由」「経営者としての悩み」など、森さんのお話しをお届けします。





好きと想いが止まらない


 ――キャリアの歩みを教えてください。

 実は、20歳の頃はアーティスト(歌手)でした。知人に誘われたのを契機に、ライブハウスに出入りしていたのですが、どうも私は人前で歌うことが苦手だったようです(笑)。昼夜逆転生活の疲弊も重なり、ある日、医師から自律神経失調症と診断されました。

 そのとき頭をよぎったのが、18歳ではじめて受けたアロママッサージ。アロママッサージ特有の癒しを提供する側の人間になろうと心に決め、22歳の2008年に銀座のセラピストスクールを卒業。その後、ロミロミサロンやアロマサロン勤務を経て、24歳で個人事業主としてマンションで独立開業、28歳の2014年に株式会社と一般社団法人を登記しました。


 ――独立や起業は以前からの目標でしたか?

 経営者になると、「独立や起業は夢でしたか?」と質問されます。たしかに、女性経営者は華があるとは思いますが、答えはNoです。私は、独立や起業を最初から目指していたわけではありません。

 サロン勤務で「ハワイアンロミロミ」に出会い、接客や施術を通じて、ハワイとアロマを融合させた「ハワイアンアロマサロンをやりたい!」という想いを抱くように。そして、人生のめぐり合わせや「ハワイとアロママッサージが大好き」という想いを止められずにたどり着いたのが、当社の設立・いまの私です。

 ハワイとアロママッサージに出会い約15年、この想いはいまでも変わりません。




生きるためにがんばる覚悟


 ――経営者意識について教えてください。

 好きという想いだけで突っ走ってきた私(笑)ではありますが、好きと「柔軟性がある覚悟」はセットで、分離できない関係だと考えます。

 正直、個人事業主の頃は、セラピストとしての技術者意識が強く、経営者意識はありませんでした。

 当社を設立し、経営セミナーや交流会に足を運ぶようになってから、感化されました。先輩経営者の覚悟、借り入れ、雇用……さまざまなことを思うと、私の想いや好きなことで周りを巻き込んだからこそ、これまで以上の強い自覚と覚悟が必要なのだと、意識が自然に芽生えました。

 覚悟のお話しをすると、武士の切腹といった死をイメージされる方がいるのですが、そういうことではありません。

 もし、結果が伴わなかったら、改善や方向転換をすればよいのです。仕事は死ぬためにするのではなく、生きるためにするものであってほしいので、生きるためにがんばる(=柔軟性がある)覚悟をしています。





私の理想像 #自立した女性


 ――ロールモデルはいますか? 

 ロールモデルとする女性はいないのですが、自立した女性を目指しています。私が思う自立は、「愛、勇気、健康、美、心、金、すべてを自ら巡らせる――」。企業理念にも掲げています。

 そのなかでも、特に重要視しているのが、問題解決能力。経営者である以上、自ら考えたものが形となり、責任を背負うわけですから、問題解決能力を身につけられるよう努力しています。

 具体的には、①とにかく行動する、②発言内容を振り返る、の2つです。

 ① とにかく行動する:計画を作ることも含めてすべて行動。行動しないと何もはじまらないので、期限つきのスケジュールを無理にでも設けて、アクセルをふむようにしています。

 ② 発言内容を振り返る:会話やできごとを振り返り、反省する時間を毎日設けることで、自分自身を客観視でき、置かれている環境や状況などに気がつきやすくなります。

 理想の女性像に近づくために、①②を実践する「意思を意識する」ように心掛けていますね。


 ――スタッフにも #自立した女性 を目指してほしいですか?

 私が目指す理想の女性像は、スタッフの教育方針にも通じるところがあります。いまは「任せる教育」に取り組んでいて、決定権は店長クラスのスタッフに委ねています。

 マニュアル整備をはじめとする組織改革を行い、改善されましたが、会社設立前後はスタッフ教育で悩んでいました。

 これまでの人生経験のなかで、先輩の立場になったことがなく、スタッフとの関係が友人化。シビアな指導ができない、喧嘩別れのような退職が続く……。そういった苦い過去があるのと、女性の幸せと自立の応援を目的とした企業なので、スタッフの自立と成長には注力しています。

 社内ミーティング中に、ある無茶ぶりをスタッフにしました。店舗PRを即興プレゼンテーションしてもらう、という内容です。特にマネージャークラスのスタッフは、私のアイデアよりも断然よく、成長を感じた瞬間でした。また、スタッフから意見や提案をもらう機会が多くなりました。「なぜなら」という理由が添えられていると、より成長を感じ嬉しく思います。


 ――スタッフ教育のアドバイスはありますか?

 美容業界をはじめ、女性スタッフを抱える経営者の方は、スタッフとのコミュニケーションで悩まれている方がいらっしゃいますよね。

 アドバイスとしては、まずはスタッフの話しを聞くこと。弊社はフランチャイズ展開をしているのですが、高度技術を持つ有能なスタッフが在籍していると、話しを聞かずに、自我を通して威圧してしまうオーナーもいます。

 まずは話しを聞いてあげるのと、女性は理由を知りたがる傾向があるので、結論に理由を添えて伝えてあげるといいですよね。私も、スタッフの話しを聞く場を、これまで以上に多く作っていきたいと思います。






いま立ち上がれ という言葉に「引」きつけられて


 ――仕事のアクセルをふみ出した瞬間を教えてください。

 仕事では個人事業主のセラピストとして奮闘していましたが、プライベートでは前夫との喧嘩が絶えなく、28歳の会社設立前に離婚を経験。離婚を契機に渡航したハワイ・オアフ島で、カフナ(高位な僧侶、聖者)から「いま立ち上がれ」という言葉をもらいました。

 この言葉をもらった瞬間、仕事のアクセルをふみ出すのはいまだと思い、2カ月後の2014年1月にハワイフォレスト株式会社、(技術発展や育成に取り組む)一般社団法人国際セラピスト技術開発協会を設立し、アロハセラピストアカデミーを開校しました。

 離婚は好ましいことではないかもしれませんが、私にとっては、仕事やキャリアに大きな意味をもたらすターニングポイントに。離婚を経験したことで、まだ成長できる――という確信を持てましたし、同じ女性として、女性によい変化を与えたいと強く願うようにもなりました。まさに、「No Rain, No Rainbow」です。




As(アズ)読者へ


 ――独立や起業、キャリアチェンジを目指す女性にメッセージをお願いします! 

 20代前半からセラピストとして独立、28歳で会社設立しているせいか、「順風満帆なキャリアですね」と言われることがあります。前述の通り、課題や壁もたくさん(笑)あり、悩んだことも多かったです。 

 好きなこと(もちろん、柔軟性がある覚悟も)を見つけて、独立や起業、キャリアチェンジを目指している女性にお伝えしたいのは、順風満帆は自分自身が感じる感情で、客観視した振り返りではない、ということです。

 好きなことを仕事にしても、逆に嫌いなことを仕事にしても、課題は100%でてきます。ただ、好きなことを仕事にすると、乗り越えられそうな気がしますよね。また、課題を解決しないと次に進めないので、問題解決できる自立した女性を、ぜひ志してほしいです!





ハワイとアロママッサージに「魅」せられて15年


 爽やかな仕事で、外面と内面の美をつくりだすことができ、女性の応援にもつながる。銀座のセラピストスクール卒業後は、施術・接客がただただ楽しくて、お金をもらっていいのだろうかと思うくらいでした。

 はじめてアロママッサージを受けてから15年以上。代表取締役、協会理事、アカデミー校長として、いまは経営業務がメインになっていますが、あのときの高揚感を忘れずに、引き続き仕事のアクセルをふみ続けていきたいと思います。