「私、元OLです!」#05:杏ちゃむ 女子プロレスラー・グラビアアイドル

 20歳:「私はギャルが好き」でもファンは?

 高校卒業後は、将来の安定性を考え、不動産業界に就職しました。私、元OLです(笑)。しかし、なかなかのブラック企業で……。入社一年目で退職、フリーとしてグラビアイドル活動を再開しました。

 私は長野県出身なのですが、地元の友人の影響もあり、「ギャルが正義」という価値観を持っていて。「異性もギャルが好きなはず」と。

 しかし、世間は「清楚な10代」を求めていました。撮影会イベントに出演したとき、私の列には誰も並ばず……。本当に辛かったです。

 その後は、キャラ設定と向き合い、「黒髪清楚系」にイメージチェンジ。ファンはつきましたが、「本当の私を押し殺している」ようで、息が詰まる毎日でした。

 転機は20歳です。少しずつですが、お酒が美味しいと感じるようになり、SNSでお酒好きアピールを。見た目も、ギャル風に戻して。

 ファンが離れるかもしれない……。不安はありましたが、「元気な杏ちゃむも好きだよ〜!」と応援してくれる方も。20歳は、プロレスデビューした思い出の年でもありますが、「本当の私をファンに受け入れてもらえた」ことが何より嬉しかったです。

 それ以来、苦しいキャラ設定などせず、オープンに仕事を楽しむようにしていますよ!


「自分で考えました!」戦うグラビアアイドルという肩書き

 「戦うグラビアアイドル」という肩書きは、自分で名付けました。プロレスラー兼グラビアアイドルを「グラレスラー」と呼ぶのですが、同じポジションで活躍している子も多く。

 「私を見つけてほしい」という想いで、必死になって考案しました。「これいいかも!」という案も、ウェブ検索したら、既出で……。

 キャラ設定というか、自分の魅せ方を考えるうえで、「差別化の視点は持ったほうがいい」と思います。埋もれてしまうことは、もったいない!



「強い女性になりたい」フリーでいる理由

 理想の女性像は「強い女性」です。

 グラビアアイドルとしては、(事務所に所属せず)フリーで活動しているのですが、「指示されるより、自分で考え行動し、やり遂げる」ことが好きで。

 伝えたいことは伝え、仕事をマネジメントし、恋愛事情などのプライベートは仕事に持ち込まない――。責任というリスクもありますが、当たり前のことができる、「自立した強い女性になりたい」と。

 フリーだと、スケジュールのコントロールがし易いというメリットもあります。たとえば、プロレス試合とグラビア撮影会は別日にするなど、それぞれの仕事にベストなコンディションで臨むことができますね。



「若くないは……怖い」杏ちゃむ流の外見磨き

 「年齢を重ねること」「新人が出てくること」は怖いです。悔しいですが、ファンの乗り換えはよくあること。

 そのため、「ファンを飽きさせない」「新たなファンを獲得できる」ように、外見をさらに磨き、新しいことに挑戦しないといけません。

 外見磨きという点では、「コンプレックスをあえて出す」ようにしています。たとえば、体型が気になったら露出が高い服を着る、額に吹き出物ができたら前髪をあげるなど。本当は隠したいですが(笑)。

 逃げ場をつくらないことで、「何ときゃしなきゃ」という気持ちを持続できますよ! 





「夢はお嫁さんだった」プロレスラーとグラドルの魅力

 幼い頃の将来の夢は、「20歳になったらお嫁さん」でした。当時の私に、「お前はプロレスラーになっているぞ!」と伝えたいですけどね(笑)。

 両者の仕事の魅力は、「高いモチベーションを維持できる」ことです。「応援してくれる方のために強くなりたい」「人に見られるから綺麗でいたい」と。誹謗中傷もありますが、努力し甲斐がある仕事ですよ。


 

「癖のある人に惹かれます」悩み相談は解決派

 ロールモデルなど特別な女性はいないのですが、私とは別タイプの「癖のある人」を好むようにしています。たとえば、似たタイプに悩みを相談しても、解決策が出てこない……というか。共感してくれて嬉しいですが! 

 次のステップに早く進むためにも、「自分には想像できない発想や意見を聞くことも◎」と思いますよ。


「メキシコで試合をしたい」インタビューが現実に

 プロレス雑誌の取材で、「プロレスの本場・メキシコで試合がしたい」と話しました。

 ただの願望だったのですが、担当者が企画をリードしてくれ、今年9月に開催する予定でした。残念ながら、コロナ渦で企画は中断してしまいましたが、「チャンスを引きつけたな」「気軽に話してみるものだな」と。

 相手に伝えないと、何もはじまらない――。冗談交じりでもいいので、「好き」「やりたい」を気軽に話してください。夢の実現が近づきますよ。



 気がついたら"プロ"のプロレスラーに!?

 実は、プロレスで「プロ」デビューをするつもりはなくて(笑)。「地元を応援したい!」という気持ちで契約。気がついたら「プロ」と練習し、気がついたら「プロ」と試合をしていました。

 契約のきっかけは、地元で開催された試合に足を運んだこと。年間約100試合を観戦するほどのプロレスファンで。試合後、記念写真をSNSにアップしたら、現所属団体からスカウトされました。

 チャンスも興味関心も、どこに転がっているかわからないですよね。「億劫にならず、フットワークを軽くしてみる」こともおすすめですよ!




「努力に限界はある」ライバルに勉強させてもらう

 職場でのライバル関係に悩まれている方は、「売れている方のサポート」をしてみるのもおすすめです。

 プロレスでグッズ販売をしているのですが、売上ランキングがあります。私は成果が出ないとき、上位の子のサポートをし、勉強の機会をつくるようにしてます。

 プライドや意地もあるかもしれないですが、自分の努力に限界が訪れることもあります。一人で抱えこみ、視野が狭くなるよりも、周りに助けを求めたほうが効率的ですよ。



「勢いで辞めないで」フリーのグラドルになる前に

 仕事をしはじめると、「向いてないかも」「想像と違った」と悩むことはありますよね。

 会社員のときは、勢いで退職……しましたが、フリーになる前のグラビアアイドル事務所は、きちんと相談してから退所しました。状況や目標を話すことで、今後の私に協力してくれる方も。

 この経験を通じて、「決断をするときは、感情的にならず、事前に計画することで未来は変わる」ということを学びました。

 私もそうですし、同世代の子も悩みごとがたくさんあるかと。チャンスを引きつけたいなら気軽に行動、決断をするなら計画的に――。(頭の片隅でいいので)冷静な気持ちを忘れず、次の一歩をふみ出してほしいですね!