「フリートークできない!」自己開示というキャラ設定 #04:丸山久美子 イベントMC

 34歳:「MCなのにフリートークができない」番組で大号泣 

 約2年半、パーソナリティを担当したラジオ番組。プロデューサー(以下、番組P)のアイデアが、「新しい丸山久美子」に出会わせてくれました。

 番組開始前、番組Pから「好きに進行して」と依頼されたのですが、意外と難しくて。番組開始まで時間がないのに、面白い自己紹介もトークテーマも浮かばない……。限界を感じ、降板相談をすると、番組Pは「それをネタにしたら」と。「完璧でいることがプロ」と考えていた私には、想像を超えるアイデアでした。

 そして、番組で「私、MCなのにフリートークができません」と大号泣。「弱い私」をさらけ出した瞬間は、本当に恥ずかしく惨めでしたね(笑)。

 しかし、この経験のおかげで「自己開示は共感や応援につながる」「自己開示という魅せ方もある」ということを学びました。リスナーを勇気づけられたことはもちろん、逆にアドバイスをいただいたことも。

 実は、いまの私の肩書き「まるっと空気を掴むMC」も、「丸山は場の空気を掴むセンスがあるから、それを生かした活躍ができるといいね」と番組Pが評価してくれ、共演者が名付けてくれました。

 実力不足なのに、勝手なプロ像に固執していた私を成長させてくれた――。番組と関係者のみなさんには感謝しかありません。




 安室ちゃんはライブで喋らない「自己一致できる人がプロ」 

 安室奈美恵さんの大ファンなのですが、彼女は「トークが苦手なので、ライブでMCはやめるね」と宣言。ライブ演出を分析したうえで、本当の自分と向き合う姿に、高いプロ意識を感じました。

 前述のラジオ番組などさまざまな経験をし、いまの私は「自己開示し、自己一致(問題提起と解決方法が一致)できている方がプロ」と考えています。本当の自分に対して、お金を支払うクライアントがいて、応援してくれるファンもいる。それは、「本当の自分に価値がある」ということですよね。



 「女の戦いに負けたくない」あんぱんで "谷間" をつくる 

 18歳でイベントコンパニオンデビューをしたのですが、「女らしさ」が求められる業界で売れるために、事務所からの指示(髪型・体重・言動)は絶対厳守でした。胸の谷間をつくるために、あんぱんを詰めたこともあります(笑)。

 ただ当時は、指示を守り行動していればよかったので、キャラ設定という観点ではラクでした。苦労したのは20歳以降です。MC転身のためフリーになったのですが、オーディションは落選、仕事がないことに焦る……。

 そこで、「印象に残る」工夫をしました。たとえば、茶髪ロングヘアが主流のなかで、金髪ショートヘアにするなど。しかし、それは「悪目立ち」で、仕事にはつながりませんでした。

 また、内面のキャラ設定はおざなりで……。本当の私は「緊張しい」で人前が苦手なのに、女の戦いに勝ちたいという「若さ故の負けず嫌い」が出てしまい、意地を張る。気持ちと感情のコントロールができなくなり、嘔吐や口内炎などの症状が悪化。26歳で、イベント業界を離れることになりました。



 「赤いハイヒールで営業」誰に何を伝えたい? 

 26歳から数年間、企業で営業職を経験したのですが、入社当時は「悪目立ち」の癖が抜けていなく、赤いハイヒールで客先回りなど、服装面では問題児で……。働くなかでビジネスマナーの存在を知りました。

 現在は、仕事をするうえで、伝えたいターゲット層を意識しています。誰に何を伝えたいのか――。本当の自分を理解することで、外面・内面の魅せ方も次第に完成していきますよ! 

 また、最近は自己一致がすんなりできるようになったのか、テレビ番組や雑誌の嗜好も自然と変わりました。いい意味で、仕事とプライベートの垣根がなくなった気がします。

 18歳でイベントコンパニオンをはじめ、現在38歳。キャラ設定の研究に20年掛かりましたね(笑)。


 「台本よりも空気感」変化した私の MC 像 

 MCは「原稿や台本を正確に読むのが仕事」と認識されている方もいらっしゃいますが、「それはアナウンサーの仕事だ」と私は考えます。

 23歳のとき、先輩女性MCのステージを拝見したのですが、彼女は客席のお子さんに向けて「今日はどうだった?」と無茶振りをし、会場がシーンと……。お子さんが無言でいると、彼女は「感無量だそうです」と切り返し、観客から大きな拍手が。

 彼女の一言で、会場の空気感が180度変化した瞬間を目の当たりにし、「これがMCだ!」と。MCとアナウンサー、両者の仕事内容の違いに気がつきましたね。



 自己満足な自己開示!?「スキーム用意でタメになる」 

 「私のエピソードで緊張しいな方を励ましたい」と想い、数年前、スピーチコンテストに出場しました。

 しかし、優勝はできず、「話しが上手すぎて共感できない」「我々が知りたいのは解決方法」という意見が。そのとき、「カッコイイ自己開示をしていた。これは自己満足では……」と気がつきましたね。

 また、36歳で「認知行動療法士」という資格を取得したのですが、「資格はツールで、取得後のチャレンジが大切」と考えています。自己満足な自己開示だけでも×、資格だけでも×。「スキーム(枠組み)を用意し、問題提起に対して解決方法をわかりやすく説明することが求められている」と。

 そういった経験もあり、35歳で書籍『上手にあがりを隠して人前で堂々と話す法』を出版し、38歳の誕生日(2020年5月)に現社を設立しました。これまでの20年間は「成長させてもらう」側でしたが、これからは、「オリジナルスキームを通じて、緊張しいな方々を成長させたい」と考えています。




 「プレゼンしたいので15分ください!」商工会議所に電話

 いまは、商工会議所で「展示会専門接客トレーナー」も務めているのですが、私の「行動力」が引きつけた仕事です。

 30代に入り、知識やノウハウを掛け合わせて、「緊張しいな接客担当者の教育をやりたい」と。市場や提案先のリサーチを何度も重ね、商工会議所にたどり着きました。勇気を出して、電話。「15分、お時間ください!」と少々強引にアポイントメント(訪問約束)を取り、見事受注しましたよ!  

 リサーチを怠っていたら……、電話をしていなかったら……、夢物語で終わっていたかもしれません。「きちんと行動することで、チャンスは引きつけられる」と思います。


 「お色気は失敗します」同業者の末路は……

 イベント業界でさまざまな女性を見てきましたが、「色気アピール」をされていた方の多くは、引退してしまいました……。性(ボディタッチやリップサービスなど)を武器に「得」をしても、単発的で、トラブルに発展する可能性が高いです。

 仕事につなげたい気持ちもわかりますが、女性は「得」ではなく、「徳」で活躍してほしいですね。「個性(人柄やスキルなど本当の自分)を武器にすることで、仕事も人脈も、信頼と継続を得られる」と思いますよ。



 「会社員はルールのなかで働く」フリーとの違い

 26歳の体調不良を契機に、別業界で営業職を経験しました。

 両者の違いは、「会社員は定められたルールのなかで評価を築きあげる」のに対し、「フリーは一回勝負。二回目はないと思え」と考えています。

 収入の安定性ももちろんですが、「仕事に対する考え方や価値観が異なる」と。皆さんはどちらか――。「本当の自分と向き合い、自己開示に加えて自己一致もできれば、仕事もファンもついて来る」と思います。

 また、「理不尽はどの業界にもある」と。理不尽のせいにせず自分を磨くか、理不尽のせいにして自分を腐らせるか――。選択は自由ですが、勇気のある一歩をふみ出してほしいですね!